複数のはかりを組み合わせて高精度な定量計量を実現する「組み合わせはかり」は、食品などの生産現場に革命をもたらした画期的な自動計量器です。1972年に日本で誕生し、世界標準となったこの技術は、手作業では到底実現できないスピードと精度で製品を計量します。
毎分最大210回もの高速計量を可能にし、誤差わずか0.5gという驚異的な精度で歩留まりを向上。人手不足対策や品質安定化、原料ロス削減にも直結するため、生産ラインの自動化において中核を担う設備となっています。
本記事では国内トップの組み合わせはかりメーカー3社の特徴と、選定時のポイント、導入における注意点について詳しく解説します。
また、以下のサイトでは組み合わせはかりの選び方やおすすめのメーカーを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめ組み合わせはかりメーカー3選
組み合わせはかりを選ぶ際は、製品の信頼性やサポート体制が重要です。国内では以下の3社が特に優れたメーカーとして知られています。それぞれのメーカーの特徴と代表製品をご紹介します。
大和製衡株式会社

項目 | 詳細 |
会社名 | 大和製衡株式会社 |
所在地 | 兵庫県明石市茶園場町5-22 |
創業年月 | 大正9年2月(西暦1920年) |
公式サイト | https://www.yamato-scale.co.jp/ |
兵庫県に本社を置く計量機器の専門メーカーです。1979年に初の組み合わせはかりを発売し、「データウェイ」のブランド名で展開しています。
主力製品としてΩ(オメガ)シリーズとΣ(シグマ)シリーズがあり、特にΩシリーズは高精度・高速性能を両立した大規模工場向けのフラッグシップモデルです。生産ライン2ラインぶんの処理を1台でカバーできる高い処理能力を持っています。
また、省スペース向けの卓上型TSDシリーズも好評で、小規模食品工場からの支持を集めています。TSD-N3シリーズは卓上サイズながら毎分50個程度の処理が可能で、限られたスペースでも効率的な計量作業を実現します。
株式会社イシダ

項目 | 詳細 |
会社名 | 株式会社イシダ |
所在地 | 京都市左京区聖護院山王町44 |
創業年月 | 1893年5月23日 |
公式サイト | https://www.ishida.co.jp/ww/jp/ |
京都に本社を構える計量機器メーカーであり、1972年に世界初の組み合わせ計量機「CCW」を開発した業界のパイオニアです。現在も国内シェア約75%、世界シェア約50%を占める業界最大手となっています。最新シリーズとしてCCW-ASやCCW-RVシリーズがあります。
特にRVシリーズは最大毎分210回という驚異的な高速計量に対応し、幅広い用途で活躍。また、粘着製品向けのスクリューフィーダモデルや少量計量用の小型機「リリパット」など、用途別の専門モデルも充実しており、あらゆる計量ニーズに対応できる点が大きな強みです。
アンリツ株式会社

項目 | 詳細 |
会社名 | アンリツ株式会社 |
所在地 | 神奈川県厚木市恩名5-1-1 |
創業年月 | 1895年 |
公式サイト | https://www.anritsu.com/ja-jp/ |
検査機器大手のアンリツも優れた組み合わせはかりを製造しています。同社の強みは検査システムとの連携性の高さです。金属検出機や重量選別機などと組み合わせた一貫システムの提案が可能です。
特に「クリーンカップスケール」は漬物やキムチなど付着性の高い食品向けに開発されたモデルです。製品が触れる部分はすべてワンタッチで着脱可能で温水で丸洗いできるため、衛生管理が厳しい食品工場で重宝されています。
アンリツは主に食品向けに、衛生性・耐環境性を重視した差別化製品を提供しており、洗浄性と信頼性を両立させた製品ラインナップが特徴です。
組み合わせはかりの選び方ポイント
適切な組み合わせはかりを選定するためには、以下の点を考慮することが重要です。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
計量する製品特性を考慮する
組み合わせはかりを選ぶ際は、まず計量する製品の特性を考慮することが最優先です。
粒状でサラサラと流れる製品なら一般的な振動フィーダー式で対応できますが、肉や漬物のように粘着性が高い食品にはスクリュー式やカップ式など専用モデルが適しています。また、割れやすいビスケットなどの計量では、振動や落下の衝撃を和らげる工夫があるモデルを選ぶことが重要です。
製品カタログには「○○用モデル」といった記載があるため、自社製品に最適な方式を確認しましょう。製品特性と機種の相性が悪いと、安定した計量ができず、頻繁なメンテナンスが必要になる可能性があります。
必要な精度と計量範囲
目標重量や許容誤差も重要な選定基準です。1袋あたり数グラム~数十グラム程度の少量計量には高精度ロードセルを搭載した小容量モデルが必要ですが、1袋数kg単位の大容量計量ではホッパー容量の大きいモデルが適しています。機種ごとに「最小目量(精度)」や「ひょう量(最大計量範囲)」が定められているため、自社の扱う製品重量に合ったモデルを選択しましょう。
目安として、設定重量の1/3~1/5程度を各ホッパーに投入できるサイズが適切です。適正な容量のモデルを選ぶことで、精度を確保しながら効率的な計量が可能になります。
要求される処理速度
生産ラインの速度に見合った処理能力も確認が必要です。組み合わせはかりの性能指標として「○○個/分(WPM)」が提示されています。例えば毎分60袋の包装機に連結するなら、少なくとも60回/分以上の能力が必要です。将来的な増産も見据え、余裕を持ったモデルを選ぶことをお勧めします。
高性能機では毎分200回を超える処理が可能ですが、必要以上の高速モデルを選ぶとコスト増につながるため、適正なバランスを考慮しましょう。また、処理速度は製品の流れやすさにも左右されるため、カタログ値は目安と考え、実際のテスト結果を確認することが重要です。
組み合わせはかり導入時の注意点
組み合わせはかりを導入する際には、以下の点に注意が必要です。これらを事前に確認することで、スムーズな導入と安定稼働を実現できます。
設置スペースとレイアウトの確認
組み合わせはかりは基本的に生産ライン上で包装機などの直前に高所設置されるケースが多く、十分な設置スペースを確保する必要があります。天井高や床の耐荷重、周辺機器とのレイアウトを事前に確認しましょう。
標準的な14頭機だと人の背丈より高いプラットフォーム上に据え付けることもあり、安全に作業できる足場や点検スペースの確保が重要です。もしスペースに制約がある場合は、小型の卓上型や半自動型を検討すると良いでしょう。
設置前には配線や給気・排気なども含めた詳細な配置計画を立て、メーカーとの十分な打ち合わせが必要です。
メンテナンス性と衛生管理
食品の用途では洗浄のしやすさや衛生設計も重視すべきポイントです。分解清掃の容易さは機種により差があるため、製品が触れる部品の着脱性や洗浄方法を確認しましょう。
頻繁に洗浄が必要な現場では、IP規格(防水防塵等級)の高いモデルやステンレス製のホッパー、工具不要の分解機構などを備えた製品が適しています。また、消耗部品の耐久性や入手のしやすさもメンテナンス性の観点から重要です。
定期的な点検・校正計画を立て、安定した精度を維持するための体制を整えることが長期的な安定稼働につながります。
検定と法規制への対応
日本では2017年の計量法施行令改正により、組み合わせはかりを含む自動計量器が特定計量器に追加されました。商品取引(内容量表示など)に使用する場合は、事前に所定の検定に合格したものでなければなりません。検定を受けるにはまず機種ごとの型式承認が必要で、使用中も一定周期での定期検査や精度管理が求められます。
導入の際はメーカーや計量士に相談し、適切な検定手続きを踏むことが重要です。また食品業界ではHACCPや食品衛生管理の観点から、計量機器の衛生基準への適合も求められますので、業界の品質管理基準に適した機種選定が必要です。
まとめ
組み合わせはかりは製品の高精度計量を実現し、生産効率向上や歩留まり改善に大きく貢献する設備です。
導入に際しては製品特性、必要精度、処理速度などに加え、設置環境やメンテナンス性、法規制対応も考慮することが重要です。大和製衡、イシダ、アンリツのいずれも信頼できるメーカーですが、自社のニーズに最適な機種を選ぶためにメーカーへの相談や実機テストを行うことをお勧めします。
適切な組み合わせはかりの導入で、品質安定とコスト削減を実現しましょう。