食品工場を自動化するには？自動化のメリットやおすすめの機器も紹介

食品工場では近年、自動化の導入が急速に進んでいます。その背景には、人手不足や生産性向上といった課題があり、多くの企業が効率化と品質安定の両立を求めています。しかし、初めて自動化を検討する方にとっては、

「どこから始めれば良いのか」
「どの機器を選べばよいのか」

などと、悩むことも多いはずです。本記事では、食品工場で自動化が求められている背景や自動化によって得られるメリット、導入すべき代表的な自動化機器について解説します。

これから食品工場の自動化を本格的に進めたい方にとって、確かな判断材料となる内容をお届けします。

食品工場で自動化が求められている背景

食品工場で自動化が求められている背景には、深刻な人手不足と安定した品質管理へのニーズがあります。少子高齢化の進行により労働人口が減少し、製造現場では人材の確保が難しくなっています。

さらに、長時間労働の是正や作業環境の改善といった社会的な要請も高まっており、効率的な生産体制の構築が急務です。そのため、人的作業に依存しない自動化が注目されており、生産効率の向上や人的ミスの削減につながる仕組みとして導入が進んでいます。

食品工場を自動化するメリット

食品工場における自動化は、単なる設備の置き換えではなく、業務全体の効率化と品質向上につながる重要な施策です。では、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。

• 人手不足の解消と労働力コストの削減
• 品質の均一化と人的ミスの防止
• 生産効率の向上と処理スピードの加速

以下では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

人手不足の解消と労働力コストの削減

食品業界では、慢性的な人手不足が深刻化しており、安定した製造体制を維持することが難しくなっています。自動化によって機械が作業を代替することで、必要な人員数を減らすことが可能です。

また、労働時間の短縮や深夜勤務の削減など、働き方改革にもつながります。これにより、採用コストや人件費といった継続的なコストを抑えられるため、経営面でも大きな効果をもたらします。自動化は単に省人化するだけでなく、現場の生産性向上と持続可能な運営体制の構築にも寄与するでしょう。

品質の均一化と人的ミスの防止

食品製造においては、製品の品質を一定に保つことが非常に重要です。人が行う作業は、経験や体調によってばらつきが生じることがありますが、自動化された機器は常に一定の条件で動作するため、品質の均一化が実現できます。

また、秤量ミスや包装ミスなど、人的作業によるミスも防ぐことも可能です。特に衛生面が重視される食品分野では、オペレーションの標準化とトレーサビリティの確保が求められるため、自動化はその対策としても有効です。正確性と安全性の両立が可能になる点が、自動化の大きな魅力です。

生産効率の向上と処理スピードの加速

人の手作業では限界があるスピードや処理能力も、自動化機器の導入によって大幅に向上します。連続運転が可能な機械は、長時間にわたる作業でも効率を落とすことなく稼働でき、一定のリズムで生産が進むため、全体の処理スピードをあげることが可能です。

また、作業の無駄が削減されることで、工場全体の生産ラインの最適化にもつながります。これにより、短納期への対応や製品数の増加にも柔軟に対応できるようになります。需要変動が激しい食品業界においては、迅速な対応力を持つことが大きな強みとなるでしょう。

食品工場で導入されている代表的な自動化機器は？

自動化のメリットを実現するには、現場に適した機器の導入が欠かせません。ここでは、食品工場で実際に活用されている主な自動化機器をご紹介します。

• 自動包装機
• 搬送コンベア・仕分けロボット
• 組み合わせはかり（全自動計量器）

それぞれの機器がどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。

自動包装機

自動包装機は、製品を決まった形で自動的に包装する装置で、多くの食品工場で導入されています。袋詰めやトレーへの包装、ラベル貼付などが一連の流れで行えるため、作業の効率化と衛生管理の徹底に貢献します。

また、製品ごとに包装条件を設定できるため、商品ごとの特性に応じた対応が可能です。作業員が包装工程に関与する時間が減ることで、他の重要な業務に集中できる環境が整います。

一定の包装精度とスピードを確保することで、製品の見た目や品質の安定にもつながるため、ブランドイメージの向上にも貢献します。

搬送コンベア・仕分けロボット

搬送コンベアや仕分けロボットは、製造工程の中で製品や部品を自動的に移動・仕分けするための装置です。これにより、人の手で行っていた重労働や複雑な仕分け作業を大幅に省力化できます。特に大量生産を行う現場では、ラインの流れをスムーズに保ち、ボトルネックの解消に役立ちます。

また、センサーや画像認識技術を組み合わせることで、形状や重さに応じた仕分けも自動化可能です。精度の高い搬送と選別が可能になることで、不良品の混入リスクも低下し、全体の品質管理にもつながります。

組み合わせはかり（全自動計量器）

組み合わせはかりは、複数の計量ユニットから最適な組み合わせを自動的に選び、正確な重量で商品を計量する装置です。食品の種類や形状に応じて柔軟に対応できる点が特長で、一定の歩留まりとスピードを確保しながら、無駄のない計量が可能です。

従来の手作業による秤量と比較して、作業スピードは数倍にも向上し、計量ミスの削減にもつながります。導入によって、作業負荷の軽減と省人化が実現でき、コスト面でも大きな効果が得られます。精度と効率を両立させた生産体制には欠かせない機器のひとつです。

食品工場の自動化で最優先すべきは『全自動組み合わせはかり』

食品工場の自動化を進めるうえで、数ある機器の中でも最優先で導入を検討すべきなのが『全自動組み合わせはかり』です。なぜなら、計量作業が食品製造工程において非常に重要かつ手間がかかる工程であるためです。

特に、正確な分量管理は製品の品質やコストに直結する要素であり、ここを自動化することで作業の効率化だけでなく、安定した製品供給にもつながります。さらに、手作業によるばらつきや人的ミスが発生しやすい工程でもあるため、自動化によって精度の高い生産体制が実現できます。

全体の生産ラインの安定性を高めるうえでも、まずは全自動組み合わせはかりから導入を進めることをおすすめします。

全自動組み合わせはかりとは？

食品工場における自動化を進めるなかで、特に計量工程の効率化と精度向上に貢献しているのが『全自動組み合わせはかり』です。これは単なる計量機ではなく、複数のロードセルを駆使して最適な組み合わせを自動で選定し、設定重量に近い計量結果を高速かつ正確に出力できる高度な設備です。

ここからは、全自動組み合わせはかりにはどんな特徴があるのかについて解説します。

• 最適な組み合わせで正確な計量が可能になる
• スピードと歩留まりの向上につながる
• 食品の形状や種類に応じて柔軟に対応できる

以下で詳しく解説します。

最適な組み合わせで正確な計量が可能になる

全自動組み合わせはかりは、複数の計量ユニット（通常は10〜24個）から得られた重量データをもとに、あらかじめ設定された目標重量に最も近い組み合わせをリアルタイムで自動選定します。これにより、個体ごとのばらつきがある食品でも正確な計量をすることが可能です。

特に、量り売りや定量パッケージ商品の生産においては、高精度な計量が品質の安定に直結します。また、設定値との誤差を最小限に抑える仕組みであるため、過剰充填を防ぐことにもつながります。食品業界では、計量の正確性が製品信頼性の基礎となるため、導入の価値は非常に高いといえるでしょう。

スピードと歩留まりの向上につながる

全自動組み合わせはかりは、1分間に数十回の計量処理が可能で、高速かつ連続的に正確な重量を算出できます。その結果、計量ラインのボトルネックが解消され、生産スピードを大幅に向上させることが可能です。

また、最適な組み合わせを選択することで過不足が発生しにくくなり、原料の無駄を最小限に抑えることができます。これにより、歩留まりの改善と同時に、材料費の削減や在庫ロスの防止にもつながります。処理スピードと原料使用の最適化を同時に実現する全自動組み合わせはかりは、生産性とコスト効率の両面で強力な武器となります。

食品の形状や種類に応じて柔軟に対応できる

全自動組み合わせはかりは、米や菓子類、冷凍食品、カット野菜など、形状や質感が異なるさまざまな食品に対応可能です。製品ごとに異なる性質に応じて投入口や振動フィーダーの設定を変更できるため、詰まりや計量ミスを防ぎつつ安定稼働が実現します。

また、多品種少量生産にも適しており、ラインの切り替えがスムーズに行えるのも大きな特長です。導入によって、扱う食品の種類に制限されず、多様な製品の効率的な計量が可能になるため、幅広い食品メーカーで活用されています。

全自動組み合わせはかりを導入するメリット

全自動組み合わせはかりの導入は、単なる計量作業の自動化にとどまりません。生産効率の向上や品質の安定化、そしてコスト削減など、工場全体の運用に対して大きなメリットをもたらします。

ここからは、全自動組み合わせはかりを導入するメリットについて解説します。

• 作業人員の削減と省人化を実現できる
• 計量ミスの防止によって品質が安定する
• 原料ロスの削減でコストダウンにつながる

以下で詳しく解説します。

作業人員の削減と省人化を実現できる

従来、計量作業は手作業に頼ることが多く、人件費や作業員の確保に大きな課題がありました。全自動組み合わせはかりを導入することで、これまで人が担っていた重量確認や調整作業を機械が自動的に行うようになり、必要な作業人員を大幅に削減できます。特に労働力不足が深刻な食品業界では、安定的な生産体制の維持に直結する大きなメリットです。

また、装置の操作はタッチパネルやプリセット機能により簡便化されているため、特別なスキルが不要で、少人数でのライン運営が可能になります。省人化と同時に人件費の最適化にもつながるため、経営効率の改善にも貢献します。

計量ミスの防止によって品質が安定する

食品の品質を一定に保つためには、計量の精度が極めて重要です。全自動組み合わせはかりでは、設定された目標重量に基づいて最も近い組み合わせを自動選定し、常に安定した計量が可能になります。これにより、手作業で起こりがちな過不足やヒューマンエラーによる計量ミスを防ぐことができます。

正確な計量は商品の品質を均一に保つだけでなく、クレームの発生防止やブランド信頼性の向上にも寄与します。特に大量生産が求められる現場では、安定した品質を維持するための基盤として、計量精度の確保は欠かせません。

原料ロスの削減でコストダウンにつながる

手作業での計量では、目標重量を超えた充填が起きやすく、結果として原材料の過剰使用につながるケースがあります。

全自動組み合わせはかりでは、必要最小限の量を正確に組み合わせることで、充填のばらつきを最小限に抑えることが可能です。この精度の高さによって、無駄な原料使用が減少し、原材料コストの削減が実現します。

また、過剰充填による歩留まりの低下も防げるため、製造全体のコスト効率も向上させることが可能です。資源を無駄なく使うことで、持続可能な生産体制の構築にも貢献します。

全自動組み合わせはかりを選ぶ際に確認すべきポイント

全自動組み合わせはかりは多機能である一方、製品や運用環境に合った機器を選ばなければ、期待した効果を十分に発揮できません。導入時には複数の観点から比較・検討することが重要です。

ここからは、全自動組み合わせはかりを選ぶ際に確認すべきポイントについて解説します。

• 対応可能な製品や計量対象の幅が広いか
• 洗浄・メンテナンス性が良く運用負荷が少ないか

以下で詳しく解説します。

対応可能な製品や計量対象の幅が広いか

食品工場では、製品の形状や質感が異なるさまざまな商品を扱うことがあります。そのため、計量対象のサイズ・重量・性質に柔軟に対応できる全自動組み合わせはかりを選ぶことが重要です。

具体的には、細粒から大型の固形物まで計量可能なモデルや、粘性のある食材でもスムーズに処理できる設計であるかを確認する必要があります。また、ライン変更や新製品の追加にも柔軟に対応できる機器であれば、将来的な運用の幅も広がります。対応範囲が広い機器は、複数ラインの統合や設備共用にも有利です。

洗浄・メンテナンス性が良く運用負荷が少ないか

食品工場では衛生管理が非常に重要であるため、計量機器の洗浄やメンテナンス性も選定基準のひとつです。洗浄が難しい構造の機器では、細部に食品残渣が溜まりやすく、衛生上のリスクが高まります。そのため、パーツが簡単に取り外せて丸洗いできる構造や、工具不要で分解可能な設計などがおすすめです。

また、メンテナンス性が高ければ、定期点検や部品交換の作業も効率的に行えるため、稼働率の向上にもつながります。長期的に安定稼働させるためには、運用現場の負担を軽減できる設計が重要です。

全自動組み合わせはかりを導入する際の注意点

全自動組み合わせはかりは、多くのメリットをもたらす一方で、導入に際しては慎重な検討が必要です。機器の性能が優れていても、自社の生産体制や製品特性と適合していなければ、十分に活用できない可能性があります。

特に、以下の3点は事前に確認しておくべき重要な項目です。

・自社製品の特性に対応できる仕様か確認する
・設置スペースとライン構成との整合性を確認する
・信頼できるメーカーを選ぶ

まず、食品の種類によっては、柔らかさや粘度、重量分布などに違いがあり、機器によっては処理に不向きな場合もあります。導入予定の製品に対して、機器の仕様が対応しているかを確認しましょう。

次に、設置スペースが足りなかったり、既存ラインとの接続が不可能だったりすると、運用開始が遅れたり追加費用が発生する原因になります。レイアウトとの整合性は事前に図面や現地調査で確実に把握することが大切です。

そして最後に、機器の選定においては、単に価格やスペックだけで判断するのではなく、アフターサポートや保守体制を含めて信頼できるメーカーを選ぶことが長期運用のカギとなります。

これらの点を押さえることで、導入後のトラブルを回避し、スムーズに効果を得ることができます。

おすすめの全自動組み合わせはかりメーカー！3選

高精度・高効率な自動計量機は、食品や工業製品の品質と生産性を支える重要な設備です。全自動組み合わせはかりの導入を検討している企業の方へ、信頼性・実績ともに優れた国内メーカーを3社ご紹介します。

• 大和製衡株式会社
• 株式会社イシダ
• アンリツ株式会社

以下で詳しく解説します。

大和製衡株式会社

大和製衡株式会社は、創業70年以上の歴史を持つはかりの総合メーカーで、兵庫県明石市に本社を構えます。

産業用から医療・家庭用まで幅広い計量ソリューションを展開しており、国内外で高く評価されています。

全自動組み合わせはかり『データウェイ Ωプラス™ シリーズ』は、従来機に比べて歩留まりを向上させ、生産ラインを効率化できるハイスペック機。ステンレス製の丸洗い可能なボディ、わかりやすいエラー表示、消耗部品の交換タイミング通知など、現場の使いやすさに細やかに配慮されています。

高精度・衛生・省エネと三拍子揃った設計は、食品工場や包装業務などにもぴったり。信頼できる長年の実績と開発力を活かし、設備更新や新規導入を安心して任せられる企業です。

株式会社イシダ

株式会社イシダは、京都市に本社を構える創業130年以上の老舗企業で、世界初の組み合わせ計量機を生んだパイオニアとして知られています。

『CCW-ASシリーズ』は、イシダの組み合わせ計量技術の集大成とも言えるモデルで、食品や非食品を問わず幅広い製造現場で活用されています。特に、粘着性がある商品や大容量商品の供給も安定させる『放射フィーダXRF-7』や、光学センサー制御による最適な商品供給システムは、長時間の安定稼働を支える重要な要素です。

さらに、使いやすさを追求したタッチパネル操作や誤着防止機能も導入され、作業負担の軽減にもつながります。高精度な計量だけでなく、現場目線での運用支援を求めるなら、イシダの一台は間違いなく候補に入れておきたい製品です。

アンリツ株式会社

アンリツ株式会社は、長年にわたって精密計測技術を磨き続けてきたグローバル企業で、食品・医薬・物流分野など多様な業界にソリューションを提供しています。

アンリツの『クリーンホッパスケール』は、べたつきやすい準ウェット品の自動計量に特化したモデルです。多角形ホッパは商品が付着しにくい構造になっており、オートチューニング機能と自動供給制御により高い安定性を実現。IP67準拠で本体は丸洗い可能、工具不要の着脱機構も完備しており、衛生性とメンテナンス性の両立が図られています。

冷凍食品や調理品など、衛生管理が厳しく求められる現場では、この機種の導入が生産性と品質管理の向上に直結します。高精度かつクリーンな計量環境を求める企業にとって、最適なパートナーです。

まとめ

本記事では、食品工場における自動化の必要性とそのメリット、さらに代表的な自動化機器である全自動組み合わせはかりの特徴や選び方、導入時の注意点について解説しました。

自動化は、人手不足の解消や品質の安定、生産効率の向上といった多くの課題を解決する有効な手段です。中でも全自動組み合わせはかりは、高精度かつスピーディな計量を可能にし、工場全体の最適化に貢献します。

導入を成功させるためには、機器の仕様や運用環境への適合性を十分に確認することが重要です。食品工場の自動化を進めるうえで、本記事をぜひ参考にしてください。